「伝え方が9割」のキャッチコピーのセオリーが、ルミネの広告コピーにどれだけ当てはまっているか、という話

「伝え方が9割」のキャッチコピーのセオリーが、ルミネの広告コピーにどれだけ当てはまっているか、という話

2021/10/21

※2019年10月29日に公開した記事です。
デザイナーのくにかたです。
今回はキャッチコピーについてのお話をしようと思います。
今年の春、会社員デザイナーだったのですが、そこでグループ会社のキャッチコピーを考える機会がありました。コンペが開催され、60案の中からわたしの考案したキャッチコピーが選ばれました。(事情があり、そのキャッチコピーを載せることはできないのですが)
キャッチコピーをつくる専門ではないデザイナーのわたしが、どうやってキャッチコピーを考えたのか?まずはその話をしたいと思います。

「伝え方が9割」のキャッチコピーのセオリー

キャッチコピーを考えるにあたり、昔読んだ本「伝え方が9割」を思い出しました。2013年に発売された、ベストセラーになった本です。
著者は博報堂でコピーライターをされていた佐々木圭一さん。この方は伝えることが得意でなかったにも関わらず、コピーライターとして配属されかなり苦しまれたとのこと。膨大な量の名作のコトバを見て研究していると、あるとき、伝え方には技術があることを発見し、誰でもつくれる法則があることをこの本で伝えてくださってます。

「強いコトバをつくる5つの技術」として紹介されている内容を簡単に書いてみます。
①サプライズ法 伝えるコトバの前に驚きワードをつける(そうだ、ほら、実は、すごい、びっくりなど)。 〔例〕 ・そうだ、京都行こう。 ・あ、小林製薬
②ギャップ法 前半に正反対のワードをもってきてスタート地点を下げ、言いたいことのエネルギーを相対的に上げる。 あなたが好き。 → 嫌いになりたいのに、あなたが好き。 のように。 〔例〕 ・No.1にならなくてもいい もともと特別なOnly one(世界に一つだけの花) ・事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!!(踊る大捜査線)
③赤裸々法 体の変化をコトバにして表現することで、体温を感じさせる(泣く、笑う、息ができない、顔が真っ赤 など)。小説によく使われる手法。 〔例〕 ・くちびるが震えてる。あなたが好き。 ・朝、目が覚めると泣いていた。(世界の中心で、愛をさけぶ)
④リピート法 同じコトバを繰り返すことで相手の記憶に刷り込み、感情をのせることができる。歌詞によく使われる手法。 〔例〕 ・さいた さいた チューリップの花が(童謡 チューリップ) ・会いたくて会いたくて震える(西野カナ / 会いたくて会いたくて) ⑤クライマックス法 いきなり伝えたい話をせず、気を引き締める一言をはさむ(これだけは覚えていてほしいのですが、一回しか言いませんよ など)。切れかけた相手の集中スイッチを入れられる。 〔例〕ここだけの話ですが、私はカレーが好きです。

「ギャップ法」を使って考えたキャッチコピー

冒頭のコンペで選ばれたキャッチコピーは「強いコトバをつくる5つの技術」の中の「ギャップ法」を使って考えました。わたしが5つの中で一番好きな手法です。というのも、ギャップ法を使ったキャッチコピーはセンスや知性がもろに出るから。キャッチコピーの中に人柄が出る感じがします。

ルミネの広告コピー

関東に住んでる方なら誰もが知ってるファッションビル、ルミネ。 わたしはルミネの広告の写真もキャッチコピーも大好きなので、いつでも最新の広告が駅なんかで大きいサイズで直接見られる関東に住んでる人が心底羨ましいと思うのです。
写真は蜷川実花さん。 コピーライターは尾形真理子さん。尾形真理子さんは博報堂のコピーライターで、ルミネの他に資生堂やティファニー、日産自動車などの広告コピーをてがけてらっしゃる方です。
ルミネの広告のテーマは恋とファッション。そして全女子共感!なんて言われています。ルミネの広告全てが刺さるわけではなくても、女子なら誰でも「このコピーグッとくる!」というのがひとつは必ずあるし、そのときの状況でグッとくるものが変わる、そんな不思議な魅力があります。
ちなみにいまのわたしがグッとくるキャッチコピーは、 ・自分を根っこから否定しない。自分をまるごと肯定しない。 ・運勢は生まれた日より 選んだ服で変わると思う。 ・嬉しいも哀しいも表情より 着ている服で伝わっていく です。

ルミネの広告コピーは「伝え方が9割」のセオリー通りにできている?

そんな大好きなルミネの広告コピーを82個集めて見ました。そしてそのキャッチコピーたちは、「強いコトバをつくる5つの技術」のどれに当てはまっているのか?どの手法が一番多く使われているのか?あるいは当てはまっていないのか?を調べてみました。 ※該当しているかどうかは個人の判断ですのでご承知おきください。   1つのコピーに2つの手法が使われているものは重複カウントしています。
①サプライズ法 ・・・0%(0/82個)
②ギャップ法 ・・・40.2%(33/82個) ・恋は奇跡。愛は意思。 ・嘘泣きはする。作り笑いはしない。 ・モテる人間って、うらやましい。愛される人間って、尊敬する。 など
③赤裸々法 ・・・8.5%(7/82個) ・泣きたくなったら、さっさと着替える。 ・たったひとつの恋が欲しくて、どれだけの涙をこぼしただろう。 など
④リピート法 ・・・2.4%(2/82個) ・自分を好きな自分が嫌い。自分を嫌うのはもっと嫌い。 ・努力を無駄にするな。感情を無駄にするな。思い出を無駄にするな。
⑤クライマックス法 ・・・0%(0/82個)

プラス1の手法「倒置法」

ルミネの広告コピーを集めていて、これも印象に残ると感じたのが倒置法。本来の文章の順番と前後が入れ替わっているもの。 倒置法 ・・・2.4%(2/82個) ・一目惚れして欲しい。会うたびに何度でも。 ・服も見てほしい わたしばっかじゃなくて

まとめ

というわけで、すべてが5つのどれかに当てはまっているわけではないけれど、当てはまっているキャッチコピーは多数あり、「伝え方が9割」のキャッチコピーのセオリーに即してキャッリコピーを作成するのは有効な手段と言えるのではないでしょうか? 特にギャップ法はいちばん多いので、よく使われている手法と言えそうです。
今回のルミネの広告コピーの調査結果をスプレッドシートにまとめておりますので、ご興味ある方はご覧ください。82個の素敵なキャッチコピーが見られます。


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